付き添い家族を「地域の力」で支える新たな取り組みが佐賀で始まりました!
クリスマスを病院で過ごすお母さんたちに華やかなお弁当を
クリスマスやお正月という、一年でもっとも世の中が華やぐ日を、病院で子どもに付き添って過ごすお母さんたちがいます。年末年始を家で過ごすために一時退院する子も多く、この時期の病棟は閑散とします。
こうした中、華やかなお弁当でお母さんたちに笑顔を届けたいという想いに地域で共感が広がり、佐賀大学医学部附属病院こどもセンターで新たな取り組みが始まりました。
最初の缶詰のお届けから2年、広がる共感の輪
2014年の設立以来、東京を中心に食の支援に力を入れてきた私たちキープ・ママ・スマイリングは、日本全国のお母さんにも美味しいごはんを届けたいと、オリジナルの缶詰やレトルト食品の開発を行い、2019年に佐賀大学医学附属病院で最初に缶詰の配布をスタートさせました。それから2年が経過し、活動の輪はもう一段広がりを見せることになりました。
せめてクリスマスくらい手作りのごはんで笑顔になってほしい
佐賀大学医学部附属病院で子どもの入院に付き添うご家族に手作りのお弁当を届けるこの新しい取り組みは、私たちの活動を知り、一緒にお母さんたちを応援したいと言ってくださる方々との出会いによって実現しました。この活動には、佐賀市内で結婚式場を運営する株式会社ディアーズ・ブレイン、佐賀大学の学生・OBによって設立された任意団体ノギが参画してくれています。
「お弁当deスマイリング㏌佐賀大学病院」と名付けたこの取り組みは、株式会社ディアーズ・ブレインが佐賀市内で運営する結婚式場アクアデヴュー佐賀スィートテラスに所属するシェフがつくったお弁当を、佐賀大学などの学生ボランティアが病院に届けます。また、お弁当に使われた食材の一部は活動に共感してくださった地元農家の有志で結成する「佐賀大学農学部アグリマイスターの会」の皆さんからご提供いただきました。
最初のお届け日となった2021年12月24日には、お弁当づくりの会場となったアクアデヴュー佐賀スィートテラスで関係者が一堂に会し、セレモニーが行われました。その模様は、NHKや福岡放送、佐賀新聞など各メディアに取材していただき、佐賀や福岡などの地域の皆さんにも広く知ってもらえました。
苺やトマトジュース、お米などたくさんの食材が地元農家から寄付され、スペシャルランチBOXに使われ
「私たちにもサンタさんがきてくれた」、お母さんの笑顔が何よりの薬に
セレモニーの後、30食分のお弁当が学生ボランティアの手によって佐賀大学医学部附属病院へ届けられました。病院では、長男の入院に付き添っているお母さんに家族を代表してお弁当を受け取っていただきました。
お弁当箱を開けた瞬間、そのお母さんから「わぁ、すごい!」という歓声が上がりました。たくさんのメディアに囲まれ、やや緊張した様子のお母さんでしたが、「私たちにもサンタさんが来てくれたようで、元気をいただきました」という嬉しい感想をいただきました。
また、この様子を間近で見ていた学生ボランティアの一人は、「この取り組みがお母さんを笑顔にするものだということを実感できました」と話してくれました。
やがて地域に帰っていく子どもたちを地域で支える活動に育てていきたい
今、コロナ禍で付き添い家族の交代が制限される、病棟から出られないなど、付き添い環境は過酷をきわめています。それでも、治療に耐える子どもを前に、辛いと口にすることすらできないお母さんたちは精神的にも追い詰められており、付き添い家族を支えていく活動はより重要性を増しています。
一方、退院した子どもたちは、治療を終えれば必ず地域に帰っていきます。そのとき、安心してその地域で暮らしていくためには、地域の方々の理解や応援、支え合いが何よりも大切になります。
今後も「地域の力」を結集し、定期的に継続していく佐賀での取り組みが、地域で病気の子どもとその家族を支えるひとつのモデルとなり、日本全国に展開されていく。そんな未来に向けた一歩を歩み始める一日にもなりました。