活動レポート
2022.04.20ニュース

経済的困難の中にあるご家族を支える「付き添い生活サポートプラス」のご報告

経済的に厳しい状況に置かれているご家族に、もう一歩踏み込んだご支援を

NPO法人キープ・ママ・スマイリングは、子どもの入院に付き添うご家族を支える活動を行っています。コロナ禍により、付き添い家族の外出や交代に制限がかかり、付き添い環境が厳しさを増す中、食料品や生活用品をお届けする「付き添い生活応援パック無償配布事業」をスタートしました。2020年10月の開始以来、現在までに2100名を超えるご家族に応援パックをお届けしてきました。

応援パックをお届けしたご家族へのアンケートから、付き添い生活の過酷な現状と同時に、ひとり親家庭など、元来経済的にギリギリの生活を送っていたご家族が、お子さんの入院によって困窮状態に陥っている実態が浮かび上がってきました。
 
付き添い生活を送るご家族は、子どもの治療費や入院費のほか、ご家族の交通費、食費、宿泊費などさまざまな経済的負担を抱えており、入院が長期化するほどその負担は増していきます。さらに、付き添いのために働き方を変えざるをえないケースや、休職・退職を余儀なくされるケースなど、収入面でも大きな影響を受けています。

物心両面でご家族を支える「付き添い生活サポートプラス」を開始

そこで、私たちは2021年9月~2022年3月までの半年間の予定で、経済的に厳しい状況にあるご家族を手厚くサポートする活動を検討するために、試験的に30家族限定で「付き添い生活サポートプラス事業」を開始しました。
 
このサポートでは、子どもの入院により経済的に大きな影響を受けているご家族、中でもひとり親(母子)家庭や入院期間が長期にわたる疾患を抱えた病児のご家族などを対象としました。今回、支援したご家族のうち、住民税非課税世帯は約3分の1にのぼり、無収入というご家庭も少なくありませんでした。貯金を切り崩し、諸手当でギリギリの生活を送っているご家族の中には、ご自身の食事を削って日々の生活をしのいでいる人もいました。

「また頑張ろうという気持ちになりました」ご家族から届いた声

付き添い生活サポートプラスでは、お子さんが退院するまでの期間、安心してケアに専念できるよう、定期的に食品や生活用品を無償でお届けすると同時に、LINEをつかった個別チャットで精神面のサポートも行いました。

ひと家族ずつ中身が異なる応援ボックス梱包作業は、スタッフとボランティアが受け持ち、半日がかりで行っている

この試験的な取り組みのサポートを受けたご家族からは、LINEのやり取りを通して「本当に助かりました」という感謝とともに、いろいろな声が寄せられました。その一部をご紹介します。

LINEのやり取りの中で寄せられたご家族からの声

院内にいると、正直そんなに楽しいことは多くないのですが、応援ボックスをいただいて、久しぶりに嬉しい気持ちでいっぱいになりました。LINEやメールでご連絡をいただくと、孤独な感じが和らいで、また頑張ろうという気持ちになりました。

いただいたお品物を見ていると私が嬉しいのがわかるのか「ママ、よかったね~」と子どもが隣で言ってくれています。子どもなりに親のことを気にしてくれているんだなと思ってしまいました。

お家で待っている「きょうだい児」にもご褒美を

サポートを続ける中で、多くの付き添い家族が家にきょうだい児を残してきていることもわかりました。そして、きょうだい児にも普段からさびしい思いをさせていること、誕生日やクリスマス、お正月といったハレの日を一緒に過ごすことができないことにも、お母さんたちは心を痛め、申し訳ない気持ちでいっぱいになっていることを知りました。
 
そこで、入院中の子どもだけでなく、家で帰りを待つきょうだい児にも、クリスマスや七五三、節分といった季節のイベントに合わせてプレゼントを贈る活動を始めました。昨年のクリスマスには、事前に子どもたちにプレゼントの希望をたずね、一人ひとりのリクエストに応じたプレゼントを43人の病気のお子さんとそのきょうだい児に贈りました。

子どもたちから「キープママサンタさん」へのお手紙

クリスマスプレゼントを受け取りました。今朝、病室の枕元にプレゼントを置いたら、「病院にもサンタさんが来てくれた!」と大喜びしていました。治療のために連続して注射を打たなければならず、その注射が痛くて精神的に落ち込んでいたのですが、サンタさんからのプレゼントですっかりご機嫌になってくれたようです。本当にありがとうございました。

先ほど、自宅にクリスマスプレゼントが届き、長女がとても喜んで電話をくれました。「本当にサンタがいるんやなー」と言っていました。コロナによる不況が続くご時世で、プレゼントを渡せないこともあり得る中、とても素敵な企画をありがとうございました!

プレゼントを受け取って喜ぶ子どもたちの様子がお母さんたちから伝えられた

半年余りの取り組みから見えてきた「ひとり親家庭」の課題

私たちがサポートしたご家族の中でも、とりわけ厳しい状況に置かれているのがひとり親のご家庭だということが半年間の試験的な取り組みを通して見えてきました。なかでも小児がんや心臓の病気など、自宅から遠く離れた病院で治療を受けなければならないお子さんのお母さんたちは、経済的な問題だけでなく、周りに頼れる家族や友人もおらず、とても心細い思いをされていました。
 
私たちはこのような状況に置かれているひとり親のご家庭とLINEでつながり、定期的に生活用品を届けることで見守りを続け、よき相談相手となることで最悪の状態に陥る前に適切な医療者や専門機関につなぐ役割を果たすことを目指して、この活動に取り組みましたが、実際にサポートさせていただくと、この役割が何よりも強く求められていることを肌身で感じています。
 
試験的な取り組みで得た知見をもとに、新たな仕組みを立ち上げ、今年6月から泊まり込んで付き添っているために働けず、経済的にも精神的にも周りに頼れる人がいないひとり親のご家庭をサポートする新規事業を開始します。日本全国でサポートを必要としているひとり親家庭の数からすると、私たちの手が届く範囲は限られています。しかし、公的制度や支援の隙間から零れ落ちそうな付き添い家族がいることを知った以上、私たちはこの課題から目を背けず、できることから取り組んでいきます。どのような状況に置かれても安心して、病気の子どもに向き合えるよう、付き添い家族のセーフティネットになりたい――。私たちはこの目標に向かって、さらに新しい一歩を踏み出します。
 
お子さんが退院するまで寄り添う息の長い、そしてきめ細やかな対応が必要とされるこの取り組みに、引き続き皆様のお力添えをたまわりますようお願い申し上げます。

本取り組みは、Yahoo!コロナ基金様、フェリシモたすけあい基金様からの助成金、ならびに個人・法人の皆様からのご寄付により実施されています。温かなご支援に心より感謝申し上げます。

※2022年6月以降の新規事業につきましては、詳細が決定次第、ウェブサイトでご案内させていただきます。

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