活動レポート
2023.08.16イベント・講演

日本小児看護学会第33回学術集会で、 付き添い者の「食」を考える共催セミナーを開催

120人以上が参加。好事例を共有し、積極的な意見交換が行われました

看護師の関心の高さが感じられる場に

7月15日(土)〜7月16日(日)の2日間に渡り、パシフィコ横浜の会場とオンライン配信のハイブリッドにて、「一般社団法人日本小児看護学会第33回学術集会」が開催されました。
テーマは、「子どもたちの未来を見据え、今やるべきこと」。キープ・ママ・スマイリングも昼食付きランチョンセミナーとして、「付き添い者の『食』を考える~全国の病院の好事例を共有しよう~」を開催しました。入院児に付き添う家族の食事情に対する関心や理解を深めていただき、それぞれの医療機関や地域において食支援の取り組みを始める際の参考にしていただくことが目的です。

来生奈巳子教授(国立看護大学校小児看護学)を座長に、諏訪亜季子助教(香川県立保健医療大学保健医療学部看護学科助教)と当団体の光原ゆき理事長の2名が事例を紹介しました。120人分のランチチケットはすぐに完売し、立ち見が出る盛況でした。

「質疑応答では、会場から積極的に質問が出ました。『うちの病院ではこうしていますよ』と他の参加者が回答してくれるなど、共に課題を考え解決しようという前向きなエネルギーがあふれる場となりました」と、光原理事長。参加後のアンケートでは、満足度の平均は5段階の4.79と高評価でした。紹介事例の概要と、感想の一部をご紹介します。

紹介事例の概略

光原ゆき(NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長)

小児の入院付き添い者が置かれている“食事”を取り巻く厳しい現状について、「付き添い実態調査2022」の結果に基づいて紹介。また、群馬、愛知、香川、福岡、沖縄と全国各地で「小児病棟に‟おいしいごはん”を届けて付き添い者を応援しよう!」と食支援に取り組む団体が立ち上がっています。その多くは当事者による取り組みで、自分の子どもが入院していた医療機関の医師や看護師に働きかけ、医療者と連携しながら小児病棟の付き添い者に定期的に食事を提供しています。こういった好事例の仕組みを具体的に紹介しながら、NPO団体と食支援サービスを始める際のポイント、こうした連携が抱える課題について共有しました。

諏訪亜季子(香川県立保健医療大学保健医療学部看護学科助教)

2022年10月にNPO法人キープ・ママ・スマイリングの主催で「お接待ミール㏌香川」を開催。この取り組みをきっかけに、2022年12月より香川県内の医療機関では外部からの食支援を受け入れるようになり、賛同した高松市内の外食産業会社がCSR活動の一環として週1回、無料のお弁当(付き添い応援ランチ)を提供が始まりました。この仕組みについて具体的に紹介するとともに、大学教員が地域ネットワークのハブあるいはプラットフォームになることで、小児病棟の診療活動に過度の負担をかけることなく、付き添い者への生活サービスを向上し得る可能性についてお話されました。また、高松市内ではすでに独自に付き添い食のサービスを開始している医療機関があり、その事例についても看護師の取り組みを中心に紹介されました。

参加後に寄せられた感想

一部コメントを抜粋してご紹介します。

・日々働く中で、付き添いの親御さんの食事がとても寂しく、温かいごはんを食べてもらいたいなあ・・・と、強く感じていました。地域の力を利用して、社会とのつながりの中で親御さんを支えるしくみ、とても素晴らしいと感じました。

・学生の実習指導で小児病棟に入り、親の付き添いには問題が多いとわかっているので、共感できるお話ばかりでした。

・なかなか付き添いの方の食事まで支援することができず気がかりだったが、今回キープママさんの活動を知り、自分にもできることがあると分かった。食事だけでもおいしいものを食べて、患児のためにも心も体も元気で笑顔でいて欲しいと思いました。

・船橋市立医療センター。1年ほど前から付き添い食を開始しました。常食を提供しています。

・まずは病棟師長に相談し、キープママさんのパンフレットを付き添う親御さんに配布したいです。患者さんの食事については栄養士さんと相談しサポートすることができていたが、付き添いの方の支援ができていないことにはモヤモヤしていました。今回参加することができて本当に良かったです。

・まずは病院食を家族の方にも出せるシステムにできないか、病棟管理者に相談してみたいと思います。

・全国の事例を通して、栄養課や医事課と再交渉したいと思います。

・勤務先でも、子どもに付き添う親の食事は課題です。院内には売店もなく、近隣にコンビニもありません。なんとか親の食支援を進めていきたい。

・とてもわかりやすく、様々な方たちが色々なところで頑張られていることを知れて良かったです。
附属の病院でも大変な思いをされているお母さん・お父さんが多いのを感じているので、ぜひ取り入れられたら良いなと思いました。

・小児の付き添い家族に向けて、売店から移動販売のシステムがあるといいなと思う。意見を伝える機会があれば伝えていきたいです。

・在宅看護されている方へのお弁当。

・私は看護師として救急で長く働いていました。緊急入院となると、食事を含めなんの準備もできない状態で付き添いをしなければならない方々を見てきました。そのような方々への支援ができたらと思いました。

・一日20分でも良いので、保育士による子どもの見守り時間が作れたら良いと思う。

・音への配慮など、睡眠を支える何かがあればいいな、と感じました。

・親が付き添い、子どものケアを担っている状況を改善しなければならないと思います。この状況を当たり前と思い、疑問を持たない看護師の認識を変えていく必要があります。

・付き添っている家族のストレスを考え、環境改善に努めたいと感じています。

・付き添いベッド(折り畳み)についても、長期になるときついと思う・・・どうにかできたら良いと思う。

・ハードもソフトも、改善が必要と思っています。

・行政が付き添いの保護者の状況について理解しておらず、柔軟な対応ができないことが一つの要因であると思います。こども家庭庁ができたことや、最近は新聞などのメディアでも取り上げられていることから、良い風が吹くといいなと思っています。

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