NPO法人キープ・ママ・スマイリング:病気の子どもを育てるお母さん・ご家族を応援します!

調査結果のご報告「入院中の子どもと付き添い家族の困りごとや不安について」

公開日:2020/05/10

    「入院中の子どもと付き添い家族の困りごとや不安について」調査結果

     

     
    新型コロナウイルスの感染が拡大する中、活動を通して入院中のお子さんに付き添っていらっしゃるご家族からさまざまな不安や困り事に関する声が聞こえてきました。しかし、病院ごとに付き添い者への対応やルールは異なり、その実情を正確に把握することができませんでした。
     
    そこで、実情に即した適切な支援を行っていくために4月下旬、緊急アンケートを実施いたしました。少数ではあるものの、付き添いご家族の切実な声が届いておりますので、ここにご報告いたします。

    【調査概要】

    まずは、調査概要についてご紹介させていただきます。

    1.目的

    本調査は、全国の医療機関(NICU・小児病棟等)に入院治療中の子どもに付き添う家族の新型コロナウイルス感染拡大時期における不安や困り事を明らかにし、実情に即した適切な支援を行っていくことを第一の目的とする。同時に当団体で対応が難しい課題については病院関係者、厚生労働省等の行政、小児医療支援団体、マスメディアとも当事者の声を共有し、社会全体で解決する取り組みへとつなげていく。

    2.調査期間

    2020年4月20日~4月30日(5月15日まで継続中)

    3.調査対象

    全国の医療機関(NICU・小児病棟等)に入院治療中の子どもの付き添い者(主に母親)

    4.調査方法

    インターネットによるWEBアンケート

    5.回収状況

    回収数 30件 *4/30時点

    【調査結果まとめ】

    調査結果について、ご紹介させていただきます。

    入院・付き添い環境の変化について

    新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関の種別、規模、立地にかかわらず、いずれの施設も院内感染を防ぐために面会時間の短縮、面会回数や面会者の制限などを実施している。また、付き添い者の泊まり、外出・外泊を禁止した施設も少なくない。さらに病棟内での「3密」を避けるために子どもがプレイルームを使用することを禁止した施設も多い。

    病児・付き添い者の実情について


     
    プレイルームが使用できなくなったことで、子どもたちは1日中ベッドの上で過ごさなくてはならない状況に置かれている。そのため、テレビ漬けになること、体力や運動能力が低下すること、ストレスがたまることなどを心配する保護者の声は少なくない。また、年齢に関係なく面会に制限がかかったことで親に会えない寂しさを抱え、心が不安定になっている小さな子どもたちも多い。
     
    それは保護者も同様で、子どもに付き添えないことが強いストレスとなっており、心の支援を求める人もいる。また、院内感染を怖れている人がとても多く、それが保護者の日常的な行動にブレーキをかける一因となっている。自主的に外出・外泊を控え、感染が拡大し始めた2月以降、病院から一歩も出ていない人もいる。誰が感染しているのかわからない状況なので他人との会話や接触を控える行動もみられ、付き添い者の孤独感は増している。
     
    また、経済的負担も増大している。付き添いを継続するために利用せざるを得なかった個室料、公共交通機関で不特定多数の人との接触を避けるために自家用車を利用した際の高速代や駐車場代、買い出しを減らすために利用したネットスーパーの費用、祖父母にきょうだい児を預けられなくなり病院近くのホテルを利用した際の宿泊料など平時では不要な費用がいろいろと発生している。ファミリーハウスも感染予防の観点から閉鎖する施設が相次いでおり、滞在場所や休息場所を失い、経済的にも困り始めている付き添い者が出ている。
     

    【求められている支援】

    調査結果を踏まえて、求められる支援について検討させていただきました。

    プレイルームが使用できなくなった子どもたちへ

    →ベッド上で一人でも楽しめる塗り絵、パズル、絵本、DVD、おもちゃなどの提供

    →病棟内のWi-Fi環境の整備とタブレット型端末の配布

    ※当団体が小児病棟スタッフ向けに実施しているアンケートでは、複数の医療機関から絵本、DVDをはじめ、子どもが遊ぶおもちゃが不足しているとの回答があった。また、イベント・行事の中止で楽しみが少なくなり、ストレスを発散できる場がなくなったので、感染を心配することなく、みんなでつながれるインターネットを通じたアクティビティの提供が望ましいという声もあった。

    この結果を受け、キープ・ママ・スマイリングでは、「小児病棟の子どもたちへの<本・DVD・おもちゃ>寄付受付」を開始しました。

    外出制限やファミリーハウスの閉鎖等で食事が偏り経済的にも困っている付き添い者へ

    →衛生面・保存面で安心して配布できるレトルト食品を中心とした食事の提供

    面会制限によって会える時間が減ってしまった子どもたちとその家族へ

    →病棟内のWi-Fi環境の整備とタブレット型端末の配布

    ※オンライン面会が可能な環境を整えることは、親子の心理的負担を減らし、安心して治療を受け、早期の回復を促すことにもつながる。また、平時においても同様の目的を果たせる。スタッフ向けアンケートではWi-Fi、タブレット、パソコンは家族に用意してもらっているので経済状況によって対応できない家族がいることも指摘されている。

    【調査報告書ダウンロード】

    今回の調査結果について、回答者属性、フリーコメントは小児病棟の付き添い環境コロナ影響調査報告書よりご覧いただけます。ぜひご覧ください。